2010年5月23日、国士舘大学世田谷校舎34号館B棟202教室において、社会科教科書と考古学のあり方についてのミニシンポジウムが開催されました。当学会も準備段階から協力しパネラーとして参加しました、その内容について、概要をお知らせします。
総合司会:松本富雄(日本考古学協会社会科・歴史教科書等検討委員)
○「考古資料を生かした郷土の歴史学習」中村由克(野尻湖ナウマン像博物館)
地域博物館と学校教育との関係について述べた。地域博物館が学校にとって使いやすい環境を整え、地域学習支援授業を提案している。子供は感覚的なところがあり、体験等から個別の問題に入ることで間口を広くし、教科書の学習につながるようにしている。
○「学校現場における取り組み」松尾鉄域(東京国際大学客員教授,元川越市立川越西小学校長)
学校現場での取り組みを紹介した。旧石器時代や縄文時代の歴史教育が、社会科の授業だけに限定されるうのではなく、国語や家庭科の授業と連携することによって、当時の衣食住などにつて子供達に考える力を養うようにさせた。
司会:大竹幸恵、黒尾和久(日本考古学協会社会科・歴史教科書等検討委員)
事例発表を行った2名と白石浩之(日本旧石器学会会長)が旧石器時代、渡辺誠(日本考古学協会副会長・社会科・歴史教科書等検討委員会委員長)が縄文時代、木村茂光(東京学芸大学教授)が教育論の立場からパネラーとして討論に加わった。
討論の内容白石氏から旧石器時代を学ぶ意義について、渡辺氏から今までの縄文研究の反省点について、木村氏から考古学の立場から歴史教育に対し積極的な発言や具体的な提言が少ない点などが指摘された。
とりわけ白石氏は、小学校社会科教科書が弥生時代から歴史が始まっているかのような記述について旧石器時代の研究成果を反映させるべき点を強調した。
なお当日の討論の詳細な内容は、『日本考古学』等の学会誌に掲載される予定です。