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独立行政法人 国立文化財機構 奈良文化財研究所 企画調整部企画調整室長(兼 展示企画室長) |
加藤真二氏は、文化財行政に資する調査研究そして古代都城制の研究を行う奈良文化財研究所の企画調整室長として、文化財研修の企画調整や古墳壁画の研究にあたる一方、学生時代から中国旧石器の研究を行い、石刃技術の発生や細石刃石器群などに関する日中両国の旧石器時代研究に大きく貢献している。
加藤氏の研究は、実資料の観察に基づき研究を進めることを基本とし、中国大陸から見た日本の旧石器時代文化(岩宿時代文化)がどのようなものか把握することに特色を持っている。
主要な研究テーマである細石刃石器群の研究では、河南省文物考古研究所の李占揚氏との共同研究に基づき、細石刃の製作技術として西南日本に特徴的とされる矢出川技法の起源が、中国の角錐状細石核石器群にあるという注目すべき学説を提示している。このように、加藤氏は岩宿時代研究に東アジア、ユーラシア史的な視座を提供した研究者の1人として評価できると同時に、日中両国の学界相互の橋渡し役にもなっている。
最近の学会活動では、若手研究者を中国・韓国・フランスでの研究活動に同行し、彼らに各国の機関での講演や研究報告をさせることで、次世代の研究者が国交を超えた旧石器研究を進められるようその基盤づくりを行っている。
加藤氏は、岩宿時代研究とは関わりのない日常業務に精勤しながらも、中国を中心としたアジア各国の旧石器時代研究を進め、それぞれの国における旧石器研究に影響を与えているだけでなく、国際的な学術交流に貢献するともに、次世代の研究者が活躍できる場の構築にも尽力しており、岩宿時代の研究とその質的向上に寄与する者に与えられる岩宿文化賞にふさわしい業績をあげている。
推薦なしのため、該当なし