日本旧石器学会
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◆講演 アメリカ大陸最古の人類を追い求めて
In Search of the First Americans
講演者:マイケル・R・ウォーターズ博士

講演要旨:

 1世紀以上の間,考古学者は先史時代の南北アメリカ大陸への移住を理解するための手がかりを探し続けてきた.人類はいつアメリカ大陸に来たのか?

 彼らはどこから来たのか? どのルートを通って新世界へとたどり着いたのか?

 カナダからアルゼンチンまで,直面する新たな環境に彼らはどのように対応したのか?

 ニューメキシコ州ブラックウォーター・ドロー遺跡におけるクローヴィス・コンプレックスの発見によって,我々の考え方を数十年にわたり規定する,アメリカ大陸最古の人類についての明快なモデルが作られた.クローヴィス最古モデルは,小規模な狩猟民のバンドが13,500年前にアメリカ大陸に出現し,800年の間に新世界全体に行き渡ったと主張する.このモデルによれば,クローヴィス集団が新世界への最初のそして唯一の人々であった.今日,遺伝学的研究の発展と多数の考古学的新発見がクローヴィス最古モデルに疑問を投げかけ,アメリカ大陸最古の人類についての新しい理解を描きはじめている.新たな証拠はアメリカ大陸に少なくともクローヴィスの2,000年以上前に人間が存在すること,我々のクローヴィスに関する知識を再考すべきであること,そしてアメリカ大陸への最初の人類移住を説明する新たなモデルを発展させるべきであることを示している.

講演者マイケル・R・ウォーターズ博士について:

テキサスA&M大学人類学・地理学部教授.同大学ファースト・アメリカン研究センター長.

 ジオアーケオロジーとファースト・アメリカン研究を専攻.これまでアメリカ合衆国,ロシア,メキシコ,イエメンおよびジャマイカで50以上のフィールドプロジェクトに携わってきた.現在は,テキサス州デブラ・L・フリードキン遺跡,同州ホッグアイ・クローヴィスキャッシュ遺跡,テネシー州コーツハインズ・マストドン遺跡,およびフロリダ州ページラドソン遺跡の調査研究に取り組んでいる.多数の学術論文の執筆と共に,”Principles of Geoarchaeology: A North American Perspective”(邦訳『ジオアーケオロジー:地学にもとづく考古学』朝倉書店)の著者である.またテキサス州ゴールト遺跡の発掘調査報告書”Clovis Lithic Technology: Investigation of a Stratified Workshop at the Gault Site, Texas”を共著で刊行したばかりである.2003年アメリカ地質学会カーク・ブライアン賞,2004年リップ・ラップ考古学的地質学賞を受賞.アメリカ地質学会評議員.


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