日本旧石器学会

日本旧石器学会2012年度の公募により、以下の研究グループの研究活動が承認となりましたので、お知らせいたします。

■ 南アジアの旧石器時代遺跡研究グループ

■ 研究期間

 2012〜2014年度

■ 目的

 ユーラシア、オセアニアへの移住・拡散に関する人類史の解明のための、南アジアにおける旧石器時代遺跡に関する情報の収集・整理を目的とする

■ 研究の概要

 現代人の移住・拡散における「南回りルート」の要地にありながら、南アジアの旧石器時代遺跡を総覧できるリファレンス、データベースはまだ整備されていない。そこで本研究グループでは、インド・パキスタン両国を中心とする南アジア諸国の旧石器時代遺跡の位置、調査研究史、層位、年代、石器群および共伴遺物について、既公表データと、現地調査(踏査・資料調査)、関連研究者との情報交換などを通じて情報の収集と整理を行なう。

 当面の収集・整理項目は、遺跡の位置座標、文献、年代測定値、資料の記載・画像とし、既往刊行物だけでなく現地および関連研究者からの情報提供も募る。遺跡の位置座標については、現地におけるGPS計測だけでなくWeb上(Google Mapなど)で確認・記載することも積極的に行なう。収集したデータを逐次公開し、現地および関連研究者によるチェック、改訂が逐次行なえるようにする。オープン・アクセス、シェアリングによりデータの蓄積と信頼性の向上を進めるという発想である。

 あわせて、申請者らが関わる遺跡発掘調査データ、出土・採集資料、および現地研究者・機関等の許可が得られた資料について、追加情報として収録することを目指す。とくに石器群については、レーザー・スキャナを用いた3D計測データおよびモデルとしてデータを共有する方法を検討する。遺跡・遺物、専門技術・知識を有する研究者、教育・訓練を期待する学生や若手研究者それぞれの距離的懸隔を越えて、オンラインでデータを共有し、同時並行的に分析・検討作業を進め、また教育・訓練・技術移転を可能にする基盤の整備がもうひとつの目的である。

 2012年度は、パキスタン国内の遺跡情報のデータベース化、発掘調査データ・資料データの整備、データの公開・共有基盤の検討を行なう予定である。またその実施にあたっては、研究グループ内の分担者だけでなく、国内外の研究者に協力を仰いで進めたいと考えている。


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