日本旧石器学会

日本旧石器学会2011年度の公募により、以下の研究グループの研究活動が承認となりましたので、お知らせいたします。

■ 沖縄更新世人類研究グループ

■ 研究期間

 2011年度〜2013年度

■ 目的

 沖縄における更新世人類とその文化,および彼らをとりまく自然環境の解明を目的とする。

■ 研究の概要

 更新世人類とその文化の解明をめざした地表調査,発掘調査および資料調査を,沖縄の更新世化石出土地を含む石灰岩地帯において年1 回のペースで実施する予定。

 更新世にさかのぼる確実な人類化石は,日本本土では静岡県の浜北人が知られているのみであるが,沖縄では約18,000 年前の港川人や約32,000 年前の山下町第1 洞穴人などの人類化石がいくつも知られており,最近では石垣島白保竿根田原洞穴遺跡でも,人骨そのものの年代測定から,約20,000 年前の更新世末にさかのぼることが確実な人類化石が複数確認されている。

 しかし,沖縄の人類化石は洞穴や裂罅の堆積物中から動物化石などとともに回収されることが多く,文化遺物を共伴しないことから,その層序的位置づけや生活様式は未解明のまま残されている。一方,日本本土では10,000ヶ所を超える更新世遺跡が確認されているが,石器と人類化石,食料残滓が1 遺跡において共伴した例は知られておらず,更新世人類の生業活動を考える上で大きな障害となってきた。

 本研究グループでは,主に沖縄島南部の洞穴,岩陰の踏査,発掘調査を通して,更新世人類化石の発見とその文化相,自然環境の総合的解明をめざす。こうした調査研究活動を通して,日本では未だ達成されていない,更新世の人類化石,文化遺物,動物相を一体的に解明可能な遺跡の発見が期待される。その成果は,日本の旧石器文化研究にも新たな展望をもたらすことになろう。


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